ユリのウイルス病対策
■ウイルス病とは
ユリ全体を侵す病気で、球根や木子を通じて次の世代に伝染するため、
ユリの栽培で最も厄介な病気です。
ウイルスは非常に小さな粒子で、自分自身では増殖することができないため、
植物の細胞に寄生し増殖します。
一旦感染すると治療法がないため、株を抜き取って廃棄することになります。
そのため、ウイルス病に罹らないよう、予防が最も重要です。
■ウイルス病の予防
ほとんどのウイルスはアブラムシによって伝染するため、
アブラムシがつかないように栽培することが基本です。
ユリが発芽し茎も伸び始めるころ、株の周囲にの殺虫剤、
消毒剤などを、月に1回散布すると良いでしょう。
また、早期にアブラムシを発見したら、
早めにセロテープや牛乳を用いて防除します。
アブラムシを防止するため、シルバーテープで囲ったり、
シルバーストライプマルチを敷く方法も、効果的です。
ウイルス病にかかってしまった株から、汁液伝染することもあります。
病気になった株を手入れしたハサミなどで、健康な株の手入れすると、
病気の汁液がつき、ウイルスが伝染してしまいます。
ハサミなどは、面倒でも作業の度ごとに消毒すると安心です。
ウイルス病は、葉が擦れ合うことによっても伝染するため、
病気の株を見つけ次第、早めに処分するようにしましょう。
しかし、ほとんどのユリの球根は、
ウイルスに感染していると言われています。
ウイルスを持っていても、丈夫に育てていれば、
発病しないケースがかなり多いのです。
栽培環境を整え、ウイルスに負けないしっかりとした株に育てましょう。
■ウイルス病の種類
ユリには10種類ものウイルス病があります。
1個の球根に、複数のウイルスが寄生していることが多く、
それらが相乗的に被害をもたらします。
ウイルス病の症状は様々ですが、葉に緑色の濃淡の筋が出たり、
葉が萎れたり、株が萎縮することもあります。
このような症状が現れたら、早めに処分しましょう。
◎主なウイルス病は、次の4種類です。
・モザイク病
葉や花が変形したり、濃淡のある斑が入ったり、
生育が悪くなったりします。
・急性落葉病
葉色が悪くなり、急に葉が落ちてしまいます。
最終的には葉が全部落ちてしまい、茎だけになってしまうため、
その見た目から「ステッキ病」とも呼ばれます。
・萎黄病
葉や茎が黄色くなり、茎の伸長が止まり、
株全体が萎縮します。
・腫葉病
葉や花に水浸状のシミができ、花が奇形になります。