カノコユリとは?

ユリ 品種

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カノコユリ、妖精のよう

 

カノコユリ(鹿の子百合)は別名ドヨウユリ(土用百合)、
タナバタユリ(七夕百合)とも呼ばれ、九州西部や四国南部、
台湾北部、中国・江西省に自生しているユリです。

現在は自生地の減少が著しく、
環境省のレッドリスト登録されている絶滅危惧種です。

名前の通り花弁に鹿の子模様の斑点があり、
花が美しいので、昔から観賞用に栽培されてきました。

地域によって自生環境は異なり、九州では海岸近くの岸壁や草地、
四国では内陸の岩壁に下垂するように生育しています。
鹿児島県の甑(こしき)島は、群生地として有名です。

カノコユリはウイルス性の病気に比較的強いため、
野生種のユリとしては育てやすい品種のひとつです。

カノコユリは、鉢植えはできないと解説している本やサイトがありますが、
鉢植えでも、環境を整えればじゅうぶん元気に育てられます。 

 

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下向きに咲く品種が多いです

 

■カノコユリの外見

カノコユリには変種が多数存在しますが、
主な開花期は7月中旬~8月中旬で、日本に自生するユリの中ではやや遅めです。

茎先で枝分かれをして、数個から十数個の花をつけます。
自由奔放に茎が伸び、いたずらっ子のような感じです。

花びら(花被片)は大きく上に反り返り、花径は10~12cmほどで、
多くは下向きに咲きますが、まれに上向きや横向きに咲くものもあります。
花びらの反り返りの程度は個体差が大きいです。

花色は、縁部分が白で中心部分に行くにつれて紅色になるタイプが多いですが、
濃紅~ピンクや、全く色の付かない白花もあります。
白花には、花粉が赤褐色と黄色があります。

球根の色も赤紫~黄緑色まで色幅がありますが、
赤みの強い球根ほど咲く花の色が濃い傾向があります。

また、色の淡い球根は苦みが少ないため食用になり、
飢饉や戦争の際の救荒食物となったと言われています。

葉は線形で、長さは10~18cmくらいあり、革質で艶があります。
茎はかたく、直立するものも、弧を描くものもあります。

 

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園芸種の白、育てやすいです

 

■カノコユリの特徴

カノコユリの球根は食用となりますが、
薬用としても、滋養強壮、利尿、咳止め、
解熱、消炎の効能があるとされています。

シーボルトによってヨーロッパに紹介され、
明治~1970年代まで、盛んに輸出されました。

現在では、品種改良の親として利用されており、
ヤマユリなど他の種と掛け合わせて作られた交配種の、
オリエンタル・ハイブリッドは大輪で美しく人気があります。

 

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芽生え

■カノコユリの変種

・タキユリ
縁が白く、中心部が赤紫色で、
道路際のがけや岩場から
茎を垂れて花を咲かせるのが特徴です。
名前は九州・四国でいう「たき(岩場やがけのこと)」に由来します。

・シロカノコユリ
白花で、花粉は赤褐色の品種です。

・タイワンカノコユリ
台湾と中国に分布し、グロリオソイデスともいいます。
花びらの縁が強く波打っているのが特徴です。
斑点は橙色がかった赤色で、花粉は赤褐色です。

■参考
・カノコユリの育て方

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