タモトユリとは?
タモトユリは日本の固有種です。
鹿児島県トカラ列島の口之島、
それも南岸の袂が浦という断崖にだけ、
自生していました。
過去形で書いたのは、
現在は絶滅してしまったと考えられているからです。
■タモトユリの外見
タモトユリの花は純白で、直径約12cm、
花被片(花びら)の縁が少し波打っているのが特徴です。
2~3輪ずつまとまって、上向きまたは斜め上向きに、
花を咲かせます。
葯(雄しべの一部で花粉をつくる器官)は黄色で、
花には強い香りがあります。
茎は直立し、草丈は40~50cm程度です。
葉は幅4~5cm、長さ10cmと、
ユリの中では珍しく丸みを帯びた卵状楕円形をしています。
球根は白色の扁球形で、木子(きご)をつけます。
■タモトユリと乱獲の歴史
タモトユリは断崖に生息しており、
その名前の由来も、球根を採取するときに、
袂(たもと)に入れて持ち帰ったからとされています。
しかしタモトユリは、
L.nobilissimum「最も高貴なユリ」という、
学名を持つほどの美しさから、
戦後、欧米の園芸業者に買いあさられました。
戦後、貧困を極めた口之島では、
高値で買い取られるタモトユリの球根は、
貴重な収入源だったこともあり、
かなりの数の球根が、欧米の園芸業者の手に渡りました。
北海道の園芸愛好家が実生で復活させたとのことですが、
自生していた当時を知る方の話では、
花や葉の形が少し違うようです。
欧米に渡ったタモトユリは、
交配親として様々な品種が作られています。
もっとも有名な品種としては、
純白大輪で結婚式などでよく使われる”カサブランカ”があります。
また、オリエンタル・ハイブリッドに、
上向き咲き特性を導入した親でもあります。
■参考
・カサブランカの育て方