クルマユリとは?
クルマユリは、中国中部からシベリア沿海州、
日本に分布する寒地性のユリです。
日本に自生するユリとしては、もっとも標高の高いところに生え、
亜高山~高山の草地などに自生しています。
ただし北に向かうにつれて低いところにも見られるようになり、
北海道では海岸近くでも自生しています。
北アルプス・白馬鑓ヶ岳の中腹にある大出原が、
クルマユリの群生地として有名です。
■クルマユリの外見
7月上旬~中旬に、直径4~5cmの、黒い斑点のある
朱赤色の花を真下に向かせて咲かせます。
つぼみも下向きで、花粉は赤褐色です。
6枚の花びらは強く反り返っていて手鞠のような形をしています。
茎の上部に3~5輪を、あるいは集めたように咲かせます。
香りはほとんどなく、草丈は70~100cmほどです。
球根は、くびれていて長方形の、
ユニークな形の鱗片でできあがっています。
鱗片はしまりが緩く、簡単に折れてはがれます。
■クルマユリの特徴
和名のクルマユリは、葉が輪状につく「輪生」であることに由来しています。
日本に自生するユリの中では、唯一クルマユリだけが輪生葉です。
しかし輪生するのは茎の中央部の10枚ほどで、
茎の上部になると小型の葉が互い違いに生えます。
生育地域によって輪生数が異なり、高山地帯では1~2段が、
平地では3~4段が輪生します。
寒地性のユリで冷涼な気候を好むため、暖地での栽培には向きません。
鱗片は食べることができ、アイヌ語でニヨカイまたはニノオカイと呼ばれて
いましたが、現在ではほとんど食べられることはありません。
生薬としても利用されていて、茎を乾燥させたものを百合(ひゃくごう)と呼び、
咳止め、強壮、解熱、鎮静、滋養、利尿などに効果があるとされます。
■クルマユリの変種
花びらに斑点のないフナシクルマユリ、
葉の細いチシマクルマユリ、
クロバナクルマユリなどの亜種があります。
また、佐渡島の金北山などに分布し、鱗片に関節がない
サドクルマユリという変種もあります。