スカシユリとは?
スカシユリは、エゾスカシユリが、
南下しながら分化したと見られている、
日本固有のユリの品種です。
海岸の岩場の割れ目や崖に生育しています。
茎は太くて直立しますが、岸壁に生育するものは、
斜めか垂れ下がって生長します。
エゾスカシユリよりも花びら(花被片)が狭く、
とくに茎の基部が細くて透けて見えることが、
「透かし百合」の和名の由来とされています。
日当たりをとても好み、
野生種としては栽培しやすいユリです。
■スカシユリの外見
茎は直立し、草丈は20~60cmくらいです。
茎の頂に、直径10cm程度の、
赤褐色の斑点を持つ橙色の花を咲かせます。
花は盆形で、先端が反り返り、
橙赤色の地に多くの褐色の斑点があります。
香りはありません。
近縁にあたるエゾスカシユリと比べ、
花柄やつぼみに綿毛がないこと、
全体にやや小型であることが特徴です。
葉は、披針形という、
平たくて細長く先のほうがとがり、
基部のほうがやや広い形です。
葉がたくさん互い違いに生える”互生”です。
葉質は厚く、艶があります。
球根は球型で、直径4~5cmで白系の色をしています。
エゾスカシユリ同様、小球は地下茎を伸ばしますが、
大球は直立して生育します。
■スカシユリの特徴
スカシユリは、昔から栽培されていて、
現在では交配用の品種としても活用され、
園芸品種がたいへん多いです。
■スカシユリの変種
スカシユリの変種は、地域型として、
新潟県より北の日本海側に自生する種がイワユリ、
静岡県より北の太平洋側に自生する種がイワトユリと呼ばれます。
園芸的に区別しているだけで、変種ではありません。
花期が違うのは、気候の違いによるものです。
イワユリの花期は5~6月と、ユリとしては開花期が早いです。
花芽分化も早く、エゾスカシユリと同様、
秋のうちに分化が始まります。
イワトユリの花期は7~8月で、イワユリと異なり、
花芽分化は発芽後に始まります。
本来の変種として、東北から関東地方の山地に、ヤマスカシユリと
ミヤマスカシユリが見られます。