ヤマユリとは?
ヤマユリは日本特産の大型のユリで、本州のみに自生しています。
林縁や、樹木のまばらな疎林(そりん)、伐採地など、
日当たりの良い斜面でよく見られます。
■ヤマユリの外見
ヤマユリの草丈は1~1.5mくらいで、花期は7月~8月頃です。
花は、白地に黄色の筋が入り、赤褐色の斑点があり、
花弁が外に弧を描きながら広がっています。
花径は20cm以上にもなり、ユリの中では最も大きい品種のひとつで、
その華麗な外見から、「ユリの王様」とも呼ばれます。
1本の茎に1輪~10数輪の花を咲かせ、たいへん強い香りを持ちます。
ヤマユリの葉は長卵形で、長さ15~18cm、幅2~5cmくらいです。
球根は黄色味を帯びた白色で、10cm程の大きさです。
球根には、多糖類の一種でコンニャクにも多く含まれる、
グルコマンナンが多量に含まれていて、苦味がなく、食用になります。
一説では、縄文時代から既に食用に供されていたといわれています。
■ヤマユリの特徴
ヤマユリは、地理的変異と個体変異が大きい品種です。
赤い筋の入るものや、その濃淡の違い、
斑点の強弱の違いが主な相違です。
なかでも、花被片の中央に太い赤色があるものは「紅筋」、
斑点が少ない純白の花は「白黄」、
花被片の斑点が黄色のものは「白星」と呼ばれています。
変種としては、東北地方に葉の幅の広いヒロハヤマユリがあります。
また、神奈川県の海岸に近い地方には、
開花時期の早い系統が自生しています。
■ヤマユリの歴史
ヤマユリを一番最初に欧米に紹介したのは、シーボルトです。
その後、1873年、ウィーン万博で日本の他のユリと共に紹介され、
ヨーロッパで注目を浴びました。
ヤマユリをはじめとする日本のユリは欧米でたいへん人気があり、
ユリの球根は大正時代まで主要な輸出品のひとつでした。
現在では、品種改良に欠かせない種のひとつであり、
カサブランカで有名なオリエンタル・ハイブリッド種では、
ヤマユリが重要な親のひとつとなっています。
■ヤマユリとサクユリ
サクユリは伊豆大島~青ヶ島までの伊豆諸島のみに、
自生している日本の固有種です。
素晴らしいユリです。
サクユリは、ヤマユリの変種と考えられていて、
ヤマユリにある花被片の赤褐色の斑点がありません。
サクユリは、草丈1.5~2m、花径25~30cmにもなる、
世界で最大のユリです。
花は白い花弁で、扁平なロート状をしていて、
中央に黄色の条が入ります。
7月上旬~中旬に開花し、強い芳香があります。
葉は、ヤマユリよりも幅広いです。
球根は扁球形で黄色で、充実した球根では直径が10cm以上にもなります。