ユリ 園芸史
日本原産のユリは、シーボルトを通してヨーロッパに伝えられましたが、
その美しさや香りがヨーロッパの人々を魅了し、
多くの球根が日本から輸出されました。
その後、日本のユリを中心にした品種改良が進み、
現在の園芸品種のほとんどは、
日本のユリが元になっていると言われます。
■日本のユリ園芸の歴史
日本では、野生ユリに恵まれていたこともあり、
古事記や万葉集に登場するように、
古来より親しまれてきましたが、
栽培用としては、ほとんど食用が主でした。
観賞用として栽培され始めたのは、
江戸時代からといわれています。
■欧米のユリ園芸の歴史
欧米では、江戸時代の終わりに、シーボルトによって、
日本のテッポウユリやヤマユリなどが紹介されるまでは、
マドンナリリーなど、数種類のユリしか知られていませんでした。
マドンナリリーは聖母マリアの象徴として、
広く親しまれていましたが、栽培がやや難しいことが難でした。
マドンナリリーのほかにも、ヨーロッパには自生のユリが何種かあり、
絵画や紋章のモチーフとして使われてきましたが、
園芸品種として広く利用されることはありませんでした。
しかし、シーボルトによって紹介された日本原産のユリは、
その美しさがヨーロッパの人々に衝撃を与えました。
なかでもテッポウユリは、イースター・リリーの名で、
マドンナ・リリーに代わってキリスト教会にはなくてはならない花になり、
ヨーロッパの人々に広く愛好されました。
テッポウユリは、ヨーロッパの気候でも良く育ったため、
日本から球根が輸出され、園芸品種として広く栽培されるようになりました。
その後、品種改良が進められましたが、
日本や中国の原種が元になっているものが非常に多いです。
■現在のユリ園芸
現在販売されているユリの球根のほとんどは、
りん片の培養で機械的に大規模生産されているオランダ産がほとんどです。
こうした大輪で豪華な園芸品種だけでなく、
日本では、古くから愛されてきた楚々とした野生のユリの人気も根強く、
ササユリやヒメユリ、ヤマユリなどは、生け花に好んで使われています。
しかし、環境の変化や採取の影響などにより、
多くの野生ユリは自生地が減少の一途をたどっており、
なかでもタモトユリとウケユリは、野生固体が絶滅か、絶滅寸前の品種もあります。
自生地の復元に努めている地域もあり、成果を上げているところもありますが、
獣害や盗掘などの問題もあり、愛好家のモラルも問われています。
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