テッポウユリとは?
テッポウユリ(鉄砲百合、Lilium formosanum)は、
いまや、日本各地でよく見かけるユリになりましたが、
もともと屋久島以南の島や中国に自生していたユリです。
台湾固有種で、中国や尖閣列島にも自生しています。
日の当たる場所が好きで、海岸近くに自生します。
クサトベラという常緑低木の群れのなかに見られることが多く、
ほかの植物が育たないような岩場のくぼみなどでも生育しています。
和名のテッポウユリ(鉄砲百合)は、長い花びらの形が
古式のラッパ銃に似ていることによったものです。
学名のロンギフロールム(Lilium longiflorum)は、
「長い花」の意味です。
■テッポウユリの外見
草丈70~100cmくらいで、純白で細長い花を横向きにつけます。
花は、長さ12~18cmくらいで、花びらの先がラッパ状に反り、
1株あたり3~6輪の花をつけます。
花色は真っ白が一般的ですが、
花びらの外側が茶色がかることもあり、
その濃淡には個体差があると言われています。
花粉はほとんどが黄色です。
葉は広披針形で、平たくて細長く先のほうが尖り、
基部のほうがやや広い形です。
長さ12~15cm、幅1~2.0cmで、30~70cmの茎に70~90枚の葉が、
互い違いにつく互生です。
茎は緑色からやや褐色です。
緑色の茎は青軸、褐色の茎は黒軸と呼ばれ、
黒軸には薄いものと濃いものがあります。
球根は黄白色の球形で、直径は5~7cmです。
■テッポウユリの特徴
たいへん栽培しやすい品種で、淡い香りも魅力、
凛とした花姿が美しく葉も艶やかで見ていてもきれいで、
切花や球根が多く生産されている、馴染み深いユリです。
日本では、江戸時代から栽培されてきました。
当時は”琉球百合”と呼ばれていました。
現在、切花として出回っているテッポウユリのほとんどは、
「ひのもと」という種類で、
屋久島で発見されたユリを増殖したものだそうです。
テッポウユリは、青軸に純白の花が美しく、
花と光沢のある緑の葉とのバランスが良く、
草姿が美しいのが特徴です。
テッポウユリは他の多くのユリと異なり、
秋から年末に発芽し、4~6月には開花します。
気温の上がる夏の間は球根でやり過ごし、
涼しくなってくる11月頃に発芽するというサイクルです。
■テッポウユリとキリスト教の関係
白ユリは聖母マリアのシンボルですが、
従来、キリスト教の宗教画ではヨーロッパに自生する、
マドンナリリーが描かれてきました。
しかし、1840年、テッポウユリがヨーロッパに紹介されてからは、
マドンナリリーに変わってテッポウユリが、
キリスト教の祭事に導入されるようになりました。
そのため、テッポウユリの英名は、復活祭(イースター)にちなんで
イースターリリー(Easter Lily)ともよばれています。