オニユリとは?
オニユリは日本やグアム東部、中国、朝鮮半島に広く自生しています。
日本では、北海道から九州の平地から低山で普通に見られ、
鱗片は食用にします。
野生種としてはたいへん丈夫でウイルス耐性もあり、
育てやすく親しまれているユリです。
仏具の天蓋やシャンデリアのように、ぶら下がるように咲く花姿から、
テンガイユリ(天蓋百合)の別名があります。
■オニユリの外見
オニユリの花は花径10cmほどで、7月下旬頃に咲きます。
花被片(花びら)は上に強く反り返り、
橙色の地に褐色の斑点が花全体に入ります。
花粉は赤茶色です。
草丈は80cm以上で、大きなものでは2m程になり、
30輪以上の花をつける大型のユリです。
葉は互生で互い違いに付き、葉の形は小さめで平たくて細長く、
先のほうがゆるく尖り、基部のほうがやや広い形をしています。
6月頃、葉の付け根に暗紫色のムカゴ(珠芽)を、
たくさんつけるのが特徴です。
ムカゴは養分を貯めた小さなかたまりで、秋には落下し、
地面についた所から根を伸ばして繁殖します。
ムカゴの中には、親株に付いているうちから、
根を出すものもあります。
なお、食用にするムカゴはユリではなく、山芋のものです。
球根は少し苦みがありますが、ヤマユリと同様、食用となります。
■オニユリの特徴
日本に自生しているオニユリはすべて3倍体で、
タネができません。
*3倍体は、染色体のしくみで、
配偶子ができないためタネもできません。
一方、対馬と韓国の済州島、釜山付近には、
タネのできない3倍体のほかに、
タネのできる2倍体のオニユリも混生していることから、
その辺りがオニユリの本当の原産地で、
そこから各地に伝播したのではないかと考えられています。
ちなみに近縁の同属のコオニユリはタネをつけ、
コオニユリの花粉をオニユリにつけると、タネができます。
■オニユリの変種
対馬には、黄花の変種、黄金オニユリが自生しています。
花色は薄い黄色で、赤紫の斑点があります。
黄金オニユリは2倍体で、タネをつけます。
そのほかには、江戸時代より栽培されている
八重咲きオニユリもあります。
普通のオニユリ同様3倍体でタネをつけず、
雄しべも雌しべもなくなってしまっています。
オニユリの近縁に、同属のコオニユリがあります。