クロユリの育て方
■クロユリ 栽培データ
英名・学名 chocolate lily・fritillaria camtschatcensis
形態 多年草
原産地 日本、アラスカ、サハリン
草丈/樹高 10cm~50cm
開花期 4月~5月
花色 黒
栽培難易度(1~5) 4
耐寒性 強い
耐暑性 弱い
特性・用途 中・上級者向け 耐寒性が強い
■栽培ポイント
1. 高温多湿に弱い
2. 生育期と休眠期で水の与え方に注意
3. 生育期に集中的に肥料を与える
■クロユリの育て方
クロユリ(黒百合)は、「ユリ」と呼ばれますが、
ユリはリリウム属で、
クロユリはフリチラリア属に分類されます。
なので、正確には、クロユリはユリとは別の種類の植物です。
また、美しい容姿に似ず香りがあまり良くないです。
・栽培環境
クロユリは、地上部が出ている期間が短く、3月頃~6月頃までです。
その短い間に、地下にある鱗茎をしっかり育てるために、
生育期は日当たりの良い場所で育てます。
高温多湿に弱いので、風通しの良い場所で管理しましょう。
クロユリには「本州型」と「北海道型」があります。
本州型は草丈が低く、15cm~30cmほどです。
花数が少なく、2輪~3輪ほどしか咲きません。
北海道型と区別するために「ミヤクロユリ」という名前で、
流通していることがあります。
北海道型は本州型より大型で、草丈は50cmほどになります。
花数も多く、本州型よりも比較的育てやすいです。
・植え付け
9月中旬~10月が植え付けの適期です。
植え付ける2週間ほど前までに、植え付ける場所をよく耕しておきます。
クロユリは水はけのよい土を好みますので、
水はけが悪いと感じたら、鹿沼土や軽石砂などを足して、
よく混ぜておき、水はけを調整しておきます。
元肥として、緩効性の化成肥料を少量加えて、
よく耕しておきましょう。
クロユリの球根は、チューリップなどの球根のように皮がなく、
たくさんの鱗片が集まった状態です。
ユリなどに比べるとその鱗片が非常にはがれやすいため、
扱いには、細心の注意が必要です。
手荒に扱うと、ぼろぼろと鱗片がはがれてしまいます。
湿らせた土で球根を包んでから植え付けると、はがれにくくなります。
株間は10cm程度と、あまり広くありません。
植え穴を掘り、土にくるんだ球根をそっと置いたら、2cm~3cmほど覆土します。
植え付けた後は、水をたっぷり与えておきましょう。
・鉢植えの場合
クロユリの球根はあまり大きくないので、
5号鉢に3球~4球が目安になります。
用土は、水はけを重視して鹿沼土4と軽石3、腐葉土3をよく混ぜたものや、
市販されている山野草用の培養土でも良いでしょう。
ただし、市販の培養土を使う場合は、山野草用とされていても、
排水性が悪いときは、軽石などを足して調整するようにしましょう。
植え付け方は、地植えと同じです。
・水やり
10月~11月頃から、休眠していた球根が活動を始めます。
この頃はまだ地上部に芽も出ていないので、
表面上は何も動いていないように見えます。
けれど、地中では根が伸び始めるなどの動きがあるので、乾燥に注意します。
地植えであれば、あまり神経質にならなくても、
降雨だけで生育できることも多いです。
雨が長期間降らないなど、土が乾燥しているようであれば、
たっぷりと水を与えます。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いていたら、
鉢底から水が出てくるまでたっぷりと水を与えます。
土の表面を触ってみて、まだ湿っているのであれば、
水を与える必要はありません。
土がまだ湿っている時に水を与えてしまうと、過湿の状態になり、
球根や根が傷んだり、病気の原因になることがあります。
花が咲いた後、地上部が枯れたら水を与える頻度を下げます。
クロユリの球根は皮がなく、乾燥に非常に弱いため、
休眠期であったとしても、土が乾ききらないうちに水を与えるようにします。
ただし、あまり湿った状態にすると、
球根が腐ることがあるので注意しましょう。
・肥料
植え付け時の元肥があるので、
地上部に芽が出るまでは追肥の必要はありません。
暖かくなってきて、地上部に芽が出てきたら追肥を始めます。
クロユリは地上部が伸びている期間が短いため、
この期間に球根がしっかりと育つように、集中的に肥料を与えます。
4日~1週間に1回、規定通りに薄めた液体肥料を、水を与える要領で与えます。
肥料は地上に芽が出てきてから、
地上部が枯れるまで続けて与えるようにします。
ただし、開花中だけは肥料を与えるのを止めるようにします。
・植え替え
何年かは植えたままにしていても、
夏越しさえ成功すれば、毎年花を咲かせます。
何年かして、球根が増えてくると、生育スペースが小さくなり、
うまく花を咲かせられなくなってきます。
また長い期間植えっぱなしにしていると、
鱗片がさらにはがれやすくなるため、定期的に掘り上げて球根の整理を行い、
リフレッシュさせてやると良いです。
2年~3年に1回掘り上げて、球根の整理をしてから植え替えましょう。
植え替えの適期は、球根の掘り上げを行う6月か、
植え付けに適した9月中旬~10月です。
・植え付け後の管理
地上に芽が出てきたら、必ず日向で育てるようにします。
日当たりの悪い場所で育てると、その年は花を咲かせても、
球根をうまく肥らせることができずに、翌年は花をつけないことがあります。
高温多湿が苦手なため、日本の夏は要注意です。
夏越しをうまくできるかどうかで、
毎年クロユリを楽しめるかどうかが決まります。
地植えの場合は、夏場も日当たりのいい場所に植えているのであれば、
掘り上げて乾燥しないように保管する方が無難です。
鉢植えの場合は、風通しのいい日陰に置き場所を変え、
土が完全に乾かないように管理しましょう。
・花後の管理
花が咲き、花が傷んできたら、花ガラを摘みましょう。
花ガラをそのままにしておくと、種を作ります。
種を作ることで養分が分散し、うまく球根が肥らなくなることがあるので、
必ず花ガラは摘むようにします。
・掘り上げ
花が終わり、6月頃になると地上部がだんだんと枯れてきます。
こうなったら掘り上げ時期のサインです。
球根に傷がつかないように、また鱗片がはがれないようにそっと掘り起こします。
球根についている土を丁寧に落とし、
おがくずやピートモス、バーミキュライトの入った袋などに入れて、
乾燥しないように日陰で保管します。
鉢植えの場合は、掘り上げずに鉢ごと夏越しさせることも可能です。
地上部が枯れたら、枯れた部分を取り除いて、
鉢ごと風通しのいい日陰に移動させます。
休眠期といえども、クロユリの皮のない球根は乾燥にとても弱いので、
土が乾ききる前に、時々水を与えましょう。
クロユリのつぼみ、段々赤くなっていきます C)季節の花300 http://www.hana300.com/
・増やし方
クロユリは、花の後に種を作りますが、
その種をまいたとしても発芽率が非常に悪く、
育てるのがたいへん難しいです。
ですので、鱗片で増やすのが一般的です。
球根を掘り上げた後、外側についている鱗片をはがし、
親球と同じように植えつけて育てます。
花が咲くようになるまで、2年~3年ほどかかります。
■病害虫
春以降、アブラムシがつくことがあります。
地上部が伸びてきたら、株の状態をよくチェックし、
アブラムシがついていたら、粘着テープなどで捕殺します。