ユリ 葉が落ちるのは?
ユリを丹誠込めて育てていて、葉が突然落ちてしまう。
鉢植えの場合は、水切れ、根腐れ、根詰まりのこともありますが、
その原因は水切れなどではなく、ほとんどの場合病気です。
ユリは、土中での乾燥に強いため、
庭植えではよほど乾燥させない限り水切れにはなりません。
鉢植えの場合も、乾燥よりはむしろ水のやり過ぎによる、
過湿による失敗の方が多いです。
■ユリ 葉が落ちる原因となる病気
◎急性落葉病
ウイルス病の一つで、葉色が悪くなり、急に葉が落ちてしまいます。
最終的には葉が全部落ちてしまい、茎だけになってしまうため、
その見た目から「ステッキ病」とも呼ばれます。
ウイルス病を発症すると、治療が困難なため、
ほかの株への感染を防ぐためにも、
抜き取って処分するしかありません。
ですので、ウイルス病対策は、予防が第一です。
信頼のおける種苗会社から、健全な球根を購入します。
ウイルス病はアブラムシが媒介する事が多いため、
アブラムシの防除が効果的です。
ユリの芽が伸び始めたら、浸透移行性の殺虫剤を、
株の周囲に月に1回の頻度でばらまきます。
それでもアブラムシがついてしまったら、
見つけ次第、補殺するか薬剤を散布して防除します。
ウイルス病は汁液でも伝染します。
病気の株を手入れしたハサミなどを媒介して伝染が広がるため、
ハサミなどの器具類は、株ごとに消毒するようにします。
一般にユリ球根の99%はウイルス病にかかっていると言われています。
しかし、ウイルスを持っていても株が丈夫で健康なら、発病しません。
適切に管理し、ウイルスに負けない株を育てるように心がけます。
また、植え替え時は連作せず必ず新しい場所に植え付けます。
テッポウユリはウイルスに強いので、育てやすいです
◎葉枯れ病
葉や花に、円形または楕円形の黄褐色の斑点ができ、
症状が悪くなると、病名通り葉がすべて枯れ落ちて茎だけになり、
立ち枯れてしまいます。
カビの一種であるBotrytis elliptizcaが原因で、
多湿時に発症しやすく、
一度発症すると周囲のユリに次々と感染しかねません。
発症したら、薬剤で治療しますが、花にまで症状が出ている株は、
感染源となるため直ちに抜き取り、処分します。
予防法としては、密植を避け、風通しよく管理して多湿を防ぐとともに、
生育の初期から殺菌剤を定期的に予防散布します。
また、雨水の跳ね返りで感染するため、敷き藁を敷くなどして、
跳ね返りを防ぐと良いでしょう。
◎立ち枯れ病
初期症状は葉枯れ病と同じです。
株全体が萎れ、根元近くからだんだんと黄色く変色してやがて腐敗します。
葉には紫褐色の病斑が現れて枯れ落ち、
花は蕾のうちに褐色になり枯死します。
立ち枯れ病も、葉がれ病と同じくカビが原因ですが、
原因菌はRhizoctonia solaniであり、葉枯れ病とは違う菌です。
とはいえ、同じカビですから対処法や予防法は葉枯れ病と同様ですが、
立ち枯れ病の場合は、窒素肥料の施し過ぎや、
未熟な腐葉土や堆肥が原因となることがあります。
追肥の適量を守る、
完熟した堆肥を利用する、
などを心がけます。
連作を避ける事も重要です。