ユリ 鉢の選び方
ユリは、鉢植えでもじょうずに育てれば、
香りの良い立派な花が咲き、たいへん人気があります。
けれど、鉢の選び方を間違えてしまうと、
倒伏しやすく、その年の花も満足に楽しめず、
球根が傷んで翌年の花も見られない場合もあります。
ユリを育てるのに適切な鉢を選び、美しい花を堪能しましょう。
■ユリ 鉢の選び方
・鉢の深さ
ユリには2種類の根が出ます。
1つは球根の下から伸びる根=上根です。
春が近くなり、地上に芽が伸びてくるまでは、
この球根の下から伸びる根が水分などを吸収して育ちます。
もう1つは、球根から伸びた茎から出る根=下根です。
この根は、地上でも長く伸びた茎を支えたりする役割があるため、
必ず地中で伸ばす必要があります。
上下の根をしっかりと張らせることで、
その年の花はもちろん、翌年も花を咲かせられる、
しっかりとした球根に育てることができます。
そのため、ユリを植え付ける鉢は、
少なくとも20cm以上の深さが必要となります。
浅い鉢だと、上根が育たなかったり、
土より上に出てしまったりしてよくありません。
また背丈の出る品種だと、すぐに鉢ごと倒れてしまいます。
球根を植え付ける基準は、球根の3倍の深さです。
つまり、球根の上には、
球根2個分の厚みの土がかぶさることになります。
しっかりとした深さに植え付けることで、
上根が伸びるスペースを確保することができます。
・鉢の広さ
ユリには、カサブランカを代表とするオリエンタル・ハイブリッドと、
スカシユリを代表とするアジア・ハイブリッドという品種群があります。
家庭で育てるのであれば、
この2つの品種群の人気が高く、育てやすいとされています。
ユリは品種によって球根の大きさに差があります。
カサブランカなどはとても大きな球根ですので、
スカシユリと同じような間隔で鉢を選んでしまうと、狭い場合があります。
だいたいの目安としては、アジア・ハイブリッドの場合、
8号鉢(直径24cm)に3球ぐらい、
オリエンタル・ハイブリッドの場合は、8号鉢に2球~3球です。
球根と球根との間は、だいたい球根2つ入る程度あけておきます。
カサブランカなどは、球根が大きい分、根の張りも広いため、
8号鉢に2球にしておく方が無難です。
・鉢の材質
ユリの鉢の材質は、
通気性があり真夏に温度が上がりにくい、
素焼き鉢、駄温鉢(鉢の縁に上薬が塗ってある鉢)が適していると言われます。
しかし、8~10号の素焼き鉢に鉢底石、用土、球根と水が入ると、
かなり重くなり、移動や植え替えの時に重労働で、動かせないかたもいるでしょう。
また、素焼き鉢、駄温鉢は、水分が蒸発しやすく、
夏季の水やり回数が多くなり、忘れると枯死させることにもなります。
化粧鉢は、ランや観葉植物に使われますが、
通気性が悪いのでユリや一般の植物にはあまり適していません。
プラスチック鉢で、ある程度強度のあるものが、使いやすいです。
排水性の良い用土を用い、夏場はスノコの上に移動するなど工夫すれば、
ユリにとっても好環境となり、生育もほとんどかわりませんとても良くなります。